板金に利用される金属には「圧延方向」があります。
コピー用紙やダンボールなどの板紙にも同じような「目方向」と呼ばれるものがあります。ロール目、流れ方向とも呼ばれます。
この金属の圧延方向に関する基礎知識について説明します。
金属の板のロール方向について
金属の板を作る時の工程で、長手方向が圧延方向(目方向・ロール目)になります。
金属の塊を薄く引き延ばす方法は、金属を叩いたり、引く抜くなど色々方法がありますが、いずれも大きな力と長い加工時間が必要です。
「圧延」は金属素材をロールで押し出す方法のため、加工中の欠陥発生が低いという特徴があり、仕上がりが安定するため産業界で広く普及しています。
圧延方向(目方向・ロール方向)による影響とは
主に圧延方向の影響が出るのは「曲げ」加工時です。
ロール方向に対して、どの向きに曲げるかによって、強度が強くなるか、弱くなるか決まります。
硬い金属素材の場合は、予期しない割れが発生する可能性がありますので、曲げの方向を考慮しなければなりません。
金属板の場合はロールに対して「直角方向」の曲げは割れが発生しやすいので、金属の目に沿って平行方向で曲げるのが理想です。
曲げ加工時は外側の面は引っ張られて伸び、内側は圧縮されて縮みます。伸びの量が、材料の伸びの限界を超えると、割れが生じます。
曲げ線が2方向ある時は、45度方向になるように割付けを行うのが理想的です。
圧延方向(目方向・ロール方向)を合わせること
量産品の場合、1枚の材料で製品が何枚とれるのか?ということを考えなければなりません。
同じ材料で1つでも多く製品が取れた方が、コストパフォーマンスが上がり、製品1つあたりのコストを抑えることができるからです。
しかし、ここで重要な点は安易に材料効率だけを優先してしまわないことです。
圧延方向が異なるような割付をしてしまうと、製品の強度にバラツキが出てしまいます。
製品の品質を保つには圧延方向(目方向・ロール方向)十分配慮し割り付けすることがとても重要です。
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